なにが兆候で、なにが症状?
兆候・症状とはけが、風邪、病気の時に現れる、身体の不調のサインです。
兆候は他人(友人、医師、看護師または医療スタッフなど)が見てわかるサインです。例えば発熱、速い呼吸、さらに聴診器で聞こえる肺炎の異常音などがそうです。症状は患者自身が自覚するサインですが、他人が見つけることは難しいものです。例えば、無気力、痛み、肺炎の時の息苦しさなどは、すべて症状です。当然ひとつだけの兆候、症状から病気の原因を見つけるのは不可能です。例えば、子供の身体にでた吹き出物の原因は、漆かぶれ、はしか、皮膚感染または食物アレルギーなど、多くの可能性があります。しかし、吹き出物にその他の兆候・症状(発熱、寒気、ふしぶしやのどの痛み)が併ったら、医者は推測される病気を絞り込むことができます。患者の兆候と症状が、医者の十分な診断材料とならない場合、X線、血液検査、組織検査などの検査を追加する必要があります。
▸ 癌の兆候と症状はどのように引き起こされるか
癌によってあらゆる兆候や症状が引き起こされます。兆候や症状は癌の発生部位によって異なり、発生器官や組織の影響を受けます。 もし癌が既に転移していたら、兆候と症状は身体の様々な部位に現れる可能性があります。
癌がとても小さいうちは転移は少なく、特に切除手術によって根治する可能性が高いです。したがって、癌治療の鍵となるのは「早期発見、早期治療」です。黒色腫(皮膚癌)が良い例で、皮膚癌がまだ皮膚の深層まで増殖していない場合、容易に取り除くことができます。早期段階であれば、5年生存率(診断後患者が5年以上生存できる確率)は約98%です。しかし身体の別の部位まで転移浸潤してしまうと、5年生存率は16%まで低下します。症状が軽い、診断結果を知るのが怖い、または膨大な医療費を負担できない、などの理由で病院にかからないと、これらの症状が注意報であることに気付きません。症状(例えば疲労や咳)によっては、癌ではない病気の可能性もあるので心配しすぎないでください。症状の原因がはっきりしている、または持続時間が短い場合、癌の可能性は低いでしょう。また、例えば乳房腫瘍といっても自然に消える嚢腫(のう腫)のこともあります。ですがどんな症状も、理由なく軽視したり、見過ごしたりしてはいけません。特に症状が続く場合、悪化している場合は。症状がいくつか現れたときは、念のため医者に診てもらい、原因を見つけ適切な治療を受けたほうがよいでしょう。アメリカ癌協会とその他の健康機構は、たとえ癌の症状がない人でも癌関連の検査をして、症状が現れる前に早期発見すべきだと述べています。癌検査の詳しい情報におきましては、アメリカ癌協会の早期発見指導方針のファイルを参照してください。ですが、覚えておいてください。このような情報をいくら知っていても、症状が現れたとき最も大切なのはすぐに病院にかかることです。
▸ 癌の一般的特徴と症状
癌の基本的な特徴や症状を知っておくことは大切で、もし以下の症状が現れ、且つ持続したり悪化したりしたら、医師の診察を受けてください。ただ覚えておいていただきたいのは、あらゆる症状が現れても、必ずしも癌にかかったとは限らないということです。その他の多くの病気も、下記の症状を引き起こすことがあるのです。
・原因不明のやつれ:多くの癌患者で体重減少がみられます。理由なく体重が減った場合を原因不明のやつれ(るいそう)といいますが、4.5kg以上の体重減少は癌患者によくみられる特徴です。特に膵臓、胃、食道、肺の癌でしばしばみられます。
・発熱:癌による発熱はよくみられる症状で、癌の転移後にしばしば発症します。また、癌治療期間の発熱はほとんどの患者でしばしばみられます(薬剤などで感染に対する免疫力が低下しているため)。微熱が続く場合は、癌の初期症状の可能性があります(例:白血病、リンパ腫など)。
・疲労:休息しても極度の疲労が回復しない場合、これは癌増殖の重要な症状であり、ある癌では、発症早期によくみられます(例:白血病)。一部の胃や大腸癌では、疲労の原因は失血ですが、何が原因で出血が続くかついては明らかになっていません。
・痛み:痛みは骨の癌や精巣癌の初期症状です。長期の頭痛で治療後も改善しない場合、それは脳腫瘍の可能性があります。背中の痛みは大腸癌または卵巣癌の症状です。多くの場合、癌がもたらす痛みは既に身体の別の部位まで拡がっていることを意味します。
・皮膚の変化:癌によっては、皮膚癌と同じような明らかな皮膚変化を引き起こします。これらの特徴と症状をまとめると、色素沈着、皮膚と目の黄胆、皮膚の赤み(紅斑)、かゆみ(掻痒症)、体毛の増加などがあります。