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ロコモティブシンドロームを軽視するなかれ

京都府立医科大学医学博士 劉輝雄

私は70歳になりますが、外来診療、内視鏡検査、結果解説などで毎日を忙しくしております。太ももやふくらはぎの筋力を鍛えるために、日頃から通勤時間やMRTの階段を利用して歩くようにしていましたが、近年夜尿の症状があり、毎晩40分ウォーキングをするようにしたところ、改善がみられました。

3ヶ月前に、右膝の痛みを覚え、階段を下りるときの痛みは耐え難いほどでした。年をとったせいで関節の使いすぎによる軟骨の磨耗、老化、これが「ロコモティブシンドローム」の始まりかと思いました。すぐに大学病院の整形外科である先輩の外来に受付しましたが、仕事が忙しく、2回もキャンセルしてしまっていました。

日本の統計によると、介護が必要となった主な要因の1/4が「ロコモティブシンドローム」によるものです。台湾では、最新の調査によって男性の「ロコモティブシンドローム」の罹患リスクは89.9%、女性は91.5%に上ることがわかりました。国民の「ロコモティブシンドローム」への認識はまだそれほど十分になく、危機感に乏しい状況です。

先月石川県金沢市で開催された第9回抗加齢夏合宿に参加した際、主催である浦田会長が創立された「浦田クリニック/スコール金沢」を訪問いたしました。「浦田クリニック/スコール金沢」は新しい理念に基づく抗加齢健康促進機構で、人々に「医療」を柱とした「運動」「栄養」「癒し」を提供するべく創立されました。

私はピラティス( Pilates )の概念を取り入れた体験過程に参加しました。理学療法士の詳細なヒアリングと評価により、私は歩くときの下肢関節の間違った使い方のせいで、膝の痛みを引き起こしていることが分かりました。股関節と臀部の筋肉を上手に使って歩くように指導があり、それからは気をつけて正しい歩き方を練習したところ、膝の痛みはなくなったのです。

幸運なことに、「ロコモティブシンドローム」の始まりかと思われた私の右膝の痛みは、的確な診断を経て、姿勢と下肢の使用法を正すことによって治癒しました。運が悪いか、もしくは事の重大さを知らずに、痛みのせいで歩行や運動がおっくうになって、肥満を引き起こし、下肢の圧迫、関節変形、さらには手術、人工膝関節、ひいては寝たきりや介護が必要となってしまう人もいるでしょう。目に見える「ロコモティブシンドローム」の症状を早期診断し、改善、予防することが大切なのです。
 

介護が必要となる主な要因の一つ「ロコモティブシンドローム」

 日本の厚生労働省国民生活基礎調査によると、介護が必要となった主な要因は、脳血管疾患が18.5%、認知症が15.8%、高齢による衰弱が13.4%を占め、「ロコモティブシンドローム」に含まれる骨折・転倒と関節疾患は合わせて25%を占めています。国民の「ロコモティブシンドローム」の認知度は高くありませんが、健康危機へのリスクは大きく、決して軽視してはいけません。

「ロコモティブシンドローム」略称ロコモは2007年に日本整形外科学会が提唱した概念で、骨や関節、筋肉など運動器の衰えが原因で、「立つ」「歩く」といった機能(移動機能)が低下している状態を指し、進行すると、寝たきりなど介護が必要な状態となるリスクが高くなります。

台湾では「運動障礙(障害)症候群」と言いますが、実は「運動」障害よりも「行動」障害のほうが適していると言えます。なぜなら、各個人の身体、生活と密接に関わっており、行動さえも支障がでるようであれば、運動はもってのほかだからです。

「ロコモティブシンドローム」の最大の要因は「足腰の筋力低下」です。人体の足腰の筋肉は、背部、腹部、太もも、臀部の筋肉を含め日常生活及び日常行動で必ず使われる重要な筋肉です。そうであるとともに、加齢または運動不足から筋力低下しやすい筋肉群です。

 
日本整形外科学会は「ロコモティブシンドローム」に対して、年代相応の移動能力があるかどうかを測定することで、将来のロコモティブシンドロームになる可能性を判断する「ロコモ度テスト」(立ち上がりテスト、2ステップテスト、ロコモ25アンケート)を策定しました。2007 年に策定した「7 つのロコチェック」と合わせて実施することで、運動機能の状態が一目瞭然、個人の状態に合わせて最も適した運動方針を検討することができるため、是非とも台湾に導入する価値があると考えます。